【税理士試験対策】所得税法無料講座第10回【譲渡所得Ⅰ】

お疲れ様です。

今回は譲渡所得について

簡単に見ていきましょう。

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意義

譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。

ただし次に掲げる所得は譲渡所得に含まれません。

1 棚卸資産(準ずる資産も含む)の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の 譲渡による所得

2 上記1のほか、山林の伐採又は譲渡による所得

資産の範囲

次に掲げる資産以外の一切の資産が譲渡所得の基因となる資産である。

資産 所得区分
棚卸資産 事業所得
棚卸資産に準ずる資産 雑所得
少額減価償却資産 事業所得・雑所得
一括償却資産の必要経費算入の規定の適用をうけたもの 事業所得・雑所得
山林 事業所得・雑所得・山林所得
金銭債権 事業所得・雑所得
その他営利を目的として継続的に譲渡する資産 事業所得・雑所得

譲渡所得の考え方

譲渡所得は、資産を原形のまま他に譲渡(原則として所有権の移転)した場合において、その譲渡時までのその資産の潜在的な値上り益に対して課税するもの(会計で例えるならば固定資産売却益みたいなものです)

所有権移転とは資産の所有権が、相手に移ることを指します

そのため、売却に限らず、交換や贈与なども譲渡に含まれます

土地の売却

(取得時の時価)100円

(売却時の時価)120円

(譲渡所得=120円-100円=20円)

つまり20円が値上益

譲渡所得の金額となるのです。

少額減価償却資産及び一括償却資産の意義

少額減価償却資産とは次の資産をいいます。

・ 取得価額10万円未満(反復継続で譲渡しない重要資産を除く)

・ 使用可能期間1年未満

一括償却資産は次の資産をいいます。

・ 取得価額10万円以上20万円未満

→10万円未満だと少額減価償却資産となるため、10万円以上

なお、これらが譲渡所得から除かれているのは下記の「計算方法」を学んでから読んだ方がわかりやすいのですが、理由としては特別控除にあると思われます。

特別控除は50万円まで、無条件で所得から控除できます。

少額減価償却資産、一括償却資産は取得価額を必ず必要経費に算入することができるため、購入後直ちに売却すれば50万円までは、非課税で費用を計上できるという租税回避が考えられるからです。

なお、重要資産とは、その事業主にとって事業を営む上では欠かせない資産(例えばパチンコ店を営む事業者にとってはパチンコ台)をいい、反復継続して譲渡を行わないものは譲渡所得に区分されます。

非課税となるもの

次のものが非課税となります。

重要な内容は1、3、5と6です。

1 生活に通常必要と認められる動産

⑴ 家具など→譲渡金額問わず非課税

⑵ 貴石、貴金属、真珠、書画、骨董品、美術工芸品など

① 時価30万円以下→非課税

② 時価30万円超→課税

2 強制換価手続きによる資産の譲渡

注 棚卸資産は除く

3 NISA又はジュニアNISA

4 貸付信託の受益権の譲渡

5 国等に対して財産を寄付した場合の譲渡

6 国等に対して重要文化財の譲渡

注 土地は除く

7 相続税法の規定による物納

(注)平成30年までにおいては、重要有形民俗文化財の譲渡の特例の適用があり、1/2を非課税とする規定でしたが、平成31年から当該規定は延長されず、廃止となりました。

課税方法

譲渡所得の課税方法は少し注意が必要です。

いままでの内容としては譲渡所得は

総合短期及び総合長期という区分があり、総所得金額の計算の際に

短期は全額、長期は½が総所得金額を構成するという説明をしました。

しかし、譲渡所得は他にも注意する点があるのです。

そこをいまから説明していきます。

課税方法に大きく分けて次の2つあります。

・総合課税

・分離課税

です。

総合課税とは他の所得合算し、所得税を計算する課税方法をいいます。

分離課税とは他の所得と合算せず、個別の課税標準として所得税を計算する方法いいます。

譲渡所得では、譲渡する資産の区分により

総合課税となる資産と、分離課税となる資産があるのです。

では、どうのようにこれらに区分されているか見ていきましょう

分離課税となるもの次の4つがあります。

それぞれが別個の課税標準として計算されます。

・ 所有期間が5年を超える土地等・建物等

→ 長期譲渡所得の金額

・ 所有期間が5年以下の土地等・建物等

→ 短期譲渡所得の金額

・ 一般株式等(上場株式以外)

→ 一般株式等に係る譲渡所得の金額

・ 上場株式等

→ 上場株式等に係る譲渡所得の金額

総合課税となるものは分離課税となるもの以外とされています。

つまり、先ほどみていった分離課税に該当しなければ、総合課税と考えればOKです。

所有期間

土地等・建物等及び総合課税に区分される所有期間の考え方は特殊な考え方もあるため

説明しますね。

・ 土地等・建物等の所有期間

土地等・建物等の所有期間である、5年の考え方は少し特殊です。

総合及び山林については、取得した日から、実際に売った日までの期間で判断します。

ただし、土地等・建物等については取得した日から売却した日ではなく

取得した日から売却した年の1月1日までの日の期間で判断します。

つまり平成26年3月に取得し平成31年5月に売却した場合

本来は5年3月保有しているのですが、譲渡年の1月1日で判断するため

判定上は4年10月しか保有していないと判断されるのです。

つまり、この場合の所有期間の判断は短期となります。

これは、この場合の例で例えるなら平成26年以後取得の土地の譲渡は必ず5年以下となり、判定上楽だから?なのではと考えられます。

・ 特許権など(総合課税)

特許権などの無形固定資産の所有期間については区分は総合であるため、実際の所有期間

となりますが、ただし、注意点が1つあります。

それが、自己の考案で取得した場合の特許権等の場合です。

この場合は無条件で長期と判断されます。

これは、考案期間も考慮し無条件で5年を超えるものと扱ってくれるのです。

・ 資本的支出

資本的支出は減価償却などの関係上新規資産の取得と扱われますが、譲渡の場合は

資本的支出の時期に関わらず、実際の取得した本体の取得を取得日と扱います。

税率

分離課税となる

土地等・建物等、株式については税率は超過累進税率ではありません。

そこは山林、退職とは異なるため留意してください。

では、どのように計算されるのでしょうか?

それは、次になります。(課税標準と課税所得金額の名称も合わせて載せておきます)

課税標準 課税所得金額 税率
短期譲渡所得金額 課税短期譲渡所得金額 30%
長期譲渡所得金額 課税長期譲渡所得金額 15%
一般株式等に係る譲渡所得の金額 一般株式等に係る課税譲渡所得の金額 15%
上場株式等に係る譲渡所得の金額 上場株式等に係る課税譲渡所得の金額 15%

つまり、それぞれ税率が確定しております。

それを比例税率といいます。

所得の金額の多寡に関わらず、税率が一定ということですね。

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計算方法

計算方法は次になります。

1 譲渡損益の計算

株式等以外(各資産ごとで計算する)

譲渡対価-譲渡直前の取得費-譲渡費用

株式等(各資産ごとで計算する)

譲渡対価-譲渡直前の取得費-譲渡費用-負債の利子

2 内部通算(総合及び土地等・建物等のみ)

内部通算とは+と-の通算(相殺)と思っていただければいいと思います。

ただし、通算できるものは次のグループだけです。

⑴ 総合グループ

⑵ 土地等・建物等グループ

これらは、所有期間が5年を境に短期・長期の区分がなされます。

では、短期の金額が損失で長期の金額が所得が生じている場合はどのように計算していくのか?

となると思います。

この場合に行う計算が内部通算になります。

これらは、所有期間による区分はあるものの

単なる所有期間応じて区分しているにすぎないため、互いに損益が生じている場合は通算を認めています。

例えば・・・

総合長期△100円

総合短期+200円

→ △100円+200円=100円(総合短期)

となります。

つまり総合短期100円が総所得金額を構成する

という計算になっていきます。

なお、上場株式と一般株式は内部通算はできません。

3 生活に通常必要でない資産の損失(総合課税のみ)

→下記説明

4 特別控除(総合のみ)

最高50万円の控除が認められます。

譲渡費用

譲渡費用とは譲渡のために要した費用のことをいいます。

仲介手数料などです。

なお、保管費用(固定資産税など)は譲渡とは関係ないため譲渡費用に含まれません。

負債の利子

負債の利子という用語は配当所得でも説明しました。

配当所得の計算上控除する負債の利子は年末保有が条件であったと思います。

では、年末保有していなければいけないのならば、12月25日ぐらいで売却した場合は12月31日まで保有していた人と比較して負債の利子を控除できる場合と出来ない場合で大きな差がでます。

そこを是正するために、売却するまでに係る負債の利子は譲渡所得から控除していいよ

という調整があります。

例えば

・支払利息12万円(1年分)

・株式を今年の1月から保有し、8月に譲渡

→負債の利子は12万円×8月/12月=8万円→譲渡所得の金額の計算上控除する。

なお4万円は、特に何も考慮されません。なので配当所得からも原則控除できません。

生活に通常必要でない資産の損失

生活に通常必要でない資産について一定の事由が生じた場合は総合に区分される譲渡所得から控除することができます。

その内容は次になります。

区分 内容
資産の所有者 本人のみ
損失発生原因 災害・盗難・横領
対象資産 生活に通常必要でない資産

1 事業用以外の競走馬その他射こう的行為の手段となる動産

2 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は鑑賞の目的で所有する資産(1又は3に掲げる動産を除く)

3 生活のように供する動産で譲渡した場合に非課税とされないもの

損失額 資産の事由直前の取得費-事由発生後時価+廃材価額-保険金等
災害等関連支出 考慮しない
控除場所 譲渡所得から控除する。

土地等・建物等及び株式からは控除しない。

控除順序 総合短期→総合長期(有利)
控除しきれない場合 翌年分の譲渡所得の計算上控除する。

※ この規定は生活に通常必要でない資産を譲渡し損失が生じた場合は内部通算が可能であるのに対し、災害等の場合は何も考慮しないのは整合性がないことから、譲渡の整合性から認められる規定である。

※ 災害等関連支出を考慮しないのは、本来譲渡した場合に生じない費用であるため

※ 控除しきれない場合は翌年に控除不足額を譲渡所得から控除できます。

ただし、翌々年には繰り越せないため留意する。

まとめ

まとめるとつぎになります。

1 総合

⑴ 譲渡損益

① 総合短期

② 総合長期

⑵ 内部通算

総合短期↔総合長期

⑶ 生活に通常必要でない資産の損失

総合短期→総合長期

⑷ 特別控除

総合短期→総合長期

2 土地等・建物等

⑴ 譲渡損益

① 分離短期

② 分離長期

⑵ 内部通算

分離短期↔分離長期

3 一般株式等

譲渡損益

4 上場株式等

譲渡損益

譲渡所得は区分や計算がおおいためややこしいですが、慣れていけば難しくないため

問題などを繰り返して説いていけば大丈夫だと思います。

以上が譲渡所得になります。

続けて学びたい方はこちら(リンクを貼っていない時は作成中)

→【税理士試験対策】所得税法無料講座第11回【一時所得Ⅰ・雑所得Ⅰ】

この記事は作成当時(公開日又は更新日)の施行法令等に従って作成しています。

最後に…

私のこの内容は文字のみで解説していきます。

それは、ただ見るだけではなく

実際に自分で考えて紙に意味を図で表したりして学んで欲しいからです。

それでも分からない場合は
こちらでDMをいただければ、いつでも図にして解説などをします。

返信が遅くなる場合もありますが、ご容赦ください。

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